最近のトラックバック

« 2010年11月 | トップページ | 2011年1月 »

2010年12月

黄昏の彼方。

暦の上では暮れも押し迫ってきてはいるが、感覚的には全くそれが感じられない。その感情は年々毎度の事だが今年は特にそれが感じられずにいる。

情景だけでもと思い「谷中」へ向かう。

西日暮里で千代田線を降り道灌山方面から「よみせ通り」に入る。途中に在る「延命地蔵尊」に厚かましいお願いをしたあとゆっくりと路地をジグザグに進む。

「へび道の」方面へ進むと以前から気に成っていた中華料理の「春木屋」。2010122913530000 外観も中々の佇まい。

下町の観光コースにもなっている「谷根千」は「レトロチック」な店が増えているが、その殆どが昔ながらの家屋を若者達が今風に手直ししてギャラリーやカフェなど瀟洒に御召し替えをしている。身勝手な余所者としてはそこが面白くないのだが。

さて春木屋、波型ガラスの引き戸を開ける。瞬時に店内を見回すと思った通りの調度品ににんまり。昼時を既に回ったこの時刻、先客さんが一人焼酎の様なものを一人で飲っている。2010122913550000 2010122914000000 2010122913580000この箸立て、描かれている雷文と紅竜が多少色あせながらも存在感は十分。

80前後の年老いた御夫婦で営んでいる様子。

その店主に瓶ビールと何かつまみをと告げたら、お奨めはシューマイと言い切った。

何の気なしにそれに抗い、「餃子下さい」と言うと、「餃子は無いからシューマイが良い」との事なのでそれには従った。2010122913570000 2010122914020000 お通し?がお新香や漬物でなくて大変好ましい。お奨めなのか選択肢の問題なのか分からず供されたシューマイ。

程よく歩いたので珍しくビールを喉を鳴らしながら一気に飲み干すと、隣で「焼酎の様なもの」を飲っていたかなりの御老体とお見受けする先客さんから「お兄さん、散歩人?」と聞かれたので「そんなもんです」と答える。この方、地元の人間以外は皆そう呼ぶそうだ。言い得て妙。

聞けばこの方、11時からここで飲っているらしい中々の兵。

何か一生懸命コチラに語りかけてくれるのだが主語が無くしかも江戸弁と早口なのでほとんど意味不明。こちらはその都度「なるほど」とか「やっぱり」などのいい加減な返事の繰り返し。辛うじて聞き取れた単語を繋ぎ合わせると、あっちこっちの店で出入り禁止になっていると言う事の武勇伝の様だった。恐らく齢75~80くらい、性別の判断がし難く最後まで謎のまま。

気を取り直しここの女将さんに創業年代を聞くと、この谷中で店を構えてからは今年で60年になり、先代は浅草で屋台を引いていたそうだ。

焼酎を頼むのと同時に品書きから「支那そば」も一緒に。2010122914110000 運ばれて来たそれは正しく「支那そば」。スープの多さも好み通り。

お奨めのシューマイもこの支那そばの味も両方ともに「御愛嬌」だったが、この趣を以ってすればすれば何ら問題無い。お勘定を済ませ店を出た。

よみせ通りから右折して谷中銀座を冷かしながら歩く。2010122914330000程よい人の往来と喧騒、そして冬晴れの引き締まった風が一体となり大変心地良い。

肉のサトーでコロッケやハムカツ・メンチカツなどをテイクアウトして直ぐ側の越後屋酒店でビールを買い、店の前で旨そうに飲っている方々も多い。

コチラはまたもジグザグ歩行で商店街を進み「夕やけだんだん」を見上げながら左折して駅へ向かった。

金町下車。金町と言えば当然「ゑびす」。2010122916340000 いつもの引き戸を開け、いつもの老夫婦に迎えられ、いつものカウンターへ着く。

まったりとした店内の空気と雰囲気。実に落ち着く。

先ずは梅エキス入り下町チューハイ。2010122915180000 見事な肉薄グラスに容れられたチューハイが、その向こうの琥珀色のカウンターと同化する。このグラスがいかに丁寧に磨かれているかの証し。

この店の楽しみの一つがお通し。本日は我が家と同じ小皿で供された干し鱈の煮物。しょっぱくて旨い。

品板から湯豆腐をみつけ早速頼む。2010122915270000ガスコンロで揺れる湯豆腐は自家製のポン酢で食す。豆腐は勿論、葱も三つ葉も旨い。

この店では火力の微妙な調節はここの女将さんがやってくれる。一度湯で上がったら火を消してしまうなどと野暮な事はしない。鍋の中身の量を見ながら最後まで頃合良く面倒をみてくれる。

こうなると菊正の常温とぬる燗を続け様に頼み、牡蠣酢も一緒に合わせる。2010122916010000 2010122915490000 この最強の組み合わせは満悦至極。牡蠣の上におろしと山葵をちょいと載っけて食せば滋味に富んだ味わいが口の中一杯に広がる。

ここ「ゑびす」は29日の本日が今年最後の営業との事。御主人と女将さんに御挨拶して店を出た。

身も心も十分清められその足で娘のところへ「遊び」に向かった。

途中、電車の中から窓の外を眺めると夕映えに染まった冬空にスカイツリーと富士山が優雅にくっきり影絵の様に映っていた。

Bad Santa。

暮れも押し迫った金曜日(クリスマスイブ)に娘が突然の入院。大晦日までは掛かりそうとの事。

「突発性難聴」との事で命にかかわる疾病ではないが、親としては少々心配をした。

有り難い事に早速T母が見舞いに訪れてくれ何かと不安な娘もお陰で安堵した様だ

日頃何も親らしい事が出来ず後ろめたい気持ちも手伝い、この土日には両日とも午前と午後の二度ずつ面会に行く。

日曜日家人は仕事のため、一人午前の面会を済ませた後駅まで歩くと少々空腹を覚える。自宅から健康のためにと50分近くも歩いて病院へ来たので喉も渇いた。

最寄り駅の反対側には「3・3バンク」。当然昼より開いてる酒場もある。

このバンクへ来た事がある方なら一度は目にする駅の階段を下りたどん突きにある大衆食堂「義野屋」。2010122611550000 店内はテーブル席とカウンターでゆったりとしたつくりで落ち着く。

取り合えずチューハイと冷奴を頼む。それにモンゴウイカの「ゲゾわさ」2010122611580000 2010122612130000年配の常連さん方が次々にやってきてはホールのチャイニーズ系のお姐さんをからかっている。

お湿り程度に留めるつもりなので早々に「もり」を一枚頼んだ。2010122612310000「もり」だけと言うのも味気無いので匂いを嗅ぐ程度に「富久娘」の燗もついでに。2010122612160000瓶徳利で供された富久娘は何とも哀愁が漂い、それに釣られてついつい勢いが付いてしまう。

調度良い頃合で店を出た。

JRの一つ隣の駅に移動し駅ビルの本屋に立ち寄りその後は24時間営業の「大都会」へ向かった。2010122613190000 自動ドアの向こうは、淀んだ空気の中でタバコの煙がまるで霞がかかっている様だ。不健全極まりないシチュエーションだがこれもまた居酒屋の正しい姿でもある。

チューハイに厚揚げ・がんも・凍み豆腐・人参などの煮物 。2010122613250000 続いて風林火山の湯呑みで供される芋焼酎のお湯割りと「鰰の唐揚げ」。2010122613550000 魚の唐揚げではあまりハズレが無い気もするがこのハタハタは当たりだった。

ちょっと塩っ辛いのが欲しくなり「かつおの塩辛」所謂「酒盗」。2010122614150000どちらかと言うと「まぐろの酒盗」の方が好みだが、イカのそれとは違い口に入れても邪魔にならずこの塩っ辛さと熟成された甘さが堪らない。

気分良く店を出て帰路についた。

遥拝。

多少風があるものの、見渡す限りの正に日本晴れ。

東京駅の丸の内南口でで待ち合わせる。M酔軍氏・K子、それに我が夫妻。本来ならM酔軍氏のお内儀E子さんや大守御夫妻も御一緒するのだが、それぞれ諸事情により此度のメンバーに相成った。

二重橋を渡ると、橋の袂には何ともモダンな外灯。2010122309380000外灯に灯かりが灯され闇夜を照らす様はさぞや幽玄で幻想的な雰囲気であろう。

更に新宮殿へと進み、時間通りにお出ましされたご皇室の方々の弥栄を謹んでご祈念した。

この度が初めての家人も、神々しくも荘厳なお姿に感激一入の様子だった。

帰り道、富士見櫓や大手高麗門が碧藍の空を背景に見事に佇む。2010122310340000 2010122310450000 百人番所や与力詰め所など、時代劇好きのコチラには堪らない。出来る事なら柱や板の間の匂いを嗅ぎ歴史の息吹を直に感じたかった。

続いては本日の順路通り清澄な空気の中、靖国神社の英霊に参拝した。

その後、外苑休憩所での一献もいつも通り。2010122312310001 2010122311220000 2010122311220002 2010122311220001晴れ渡る空の下の酒は最高。先ずはビールで喉を潤し、そのご燗にしたワンカップ。あまり得意ではないK子も頑張って缶ビールを飲む。M酔軍氏・家人・コチラの三人はここで馬力が増した。

当然こんな天気では浅草へ向かわないわけには行くまい。仲見世は既に正月の装いを呈していた。2010122313210000 2010122313220000 宝蔵門を潜り、正面鎮座する浅草寺本堂の見事な甍に圧倒される。

沢山の図々しいお参りを済ませホッピー通りの浩司へ向かう。2010122313420000 2010122313360000 ここでの定番、チューハイと牛すじ煮込み。2010122313470000最近定番化しつつある鶏皮ポンズ。脂が邪魔にならずからっと揚がっていて旨い。

ここでM酔軍氏と「にごり」になり、それと共に「スルメ」も頼んだ。2010122314320000 2010122314340000 濃厚で芳醇なな味わいの「にごり」にスルメも良い。

M水軍氏と〆は「藪」でと一致する。2010122315240001 2010122315270000 2010122315330000 運良く座敷に上がれたので早速「菊正」の樽酒を頂く。無論つまみは「ざる」。恐らく美味しい蕎麦を食べさせる店なら他にいくらでもあろう。しかしこの江戸市井の風情を真似ることは出来まい。

本日はここでお開き。視線を上げれば西日に輝くランドマークの揃い踏み。2010122316000000 家人と「扇」に寄り道しようと思ったが休み。残念ながらそのまま帰宅した。

三ツ星。

生業を済ませ、家路につく。

今日は娘の学友が5名ほど拙宅へ泊まりに来るそうだ。

皆この春からの出会いで付き合いこそまだ短いが、この夏頃には娘の事で大変お世話になった。然らば親の責務として、とことん飲んでもらう事こそまた最大の歓迎でもある。

家人は家人で数日前から何を御馳走するか献立に迷っている様子だったが、案の定と言うかやっぱりと言うか、メインは「芋煮」。

コチラは五人の若人を相手にするとなると事前に燃料を補給しておく必要があるので、娘達がスーパー銭湯に行っている間に一旦帰宅してから一杯ひっかけに出る。

ご近所の「駒」にした。こんな遅くにこの店の暖簾を潜るのは初めてなのでマスターが不思議な顔で一瞬間があってから「いらっしゃい」。

先ずは冷酒にゲソ。2010122020310000いつもなら迷わず蛸の吸盤なのだが、本日は切れてしまったらしい。もっともコチラは蛸と同じくらいに烏賊好きなので何ら問題は無い。

続いて「煮物」と「なめろう」。2010122020430000 2010122021110000 この煮物は薄味ながら素材の味が充分活かされ里芋も大根も旨いが、特に牛蒡は秀逸だと思う。

「なめろうも」もマスターがその場で鯵をさばいて短包丁で叩く。大葉と葱、そして味噌のバランスが良く少々しょっぱ目なのもまた良い。

この店のマスターは、開店から閉店までビールを飲みながらの営業なのでこの時間帯はいつもより 雄弁になる事が解かった。

そろそろ帰ろうかと思ったところにマスターからのサービス「さんが焼き」。2010122021180001 これでは仕方が無い、日本酒の「ぬる燗」にする。

その後もマスターから近所のスナック情報などを教えて貰い、ようやくお勘定を済ませ店を出た。

表に出るとジャケットにマフラーだけではやはりちょっと寒い。ポケットに手を突っ込み背中を丸めながら夜空を仰ぐと、満月の側にリゲルとベテルギウスが輝くオリオン座が浮かんでいた。

家に帰えると茶の間では既に若人が缶チューハイなどを飲っていたので、無理やり間に割って入り乾杯を強要する。

芋煮やその他の料理も好評だった様で家人も御満悦の御様子。

酔った勢いで武士道の一節でもと思っていたが、親御さんの躾が成っている所為か皆礼儀正しい。

コチラは張り切って焼酎のお湯割りでとことんお付き合いをしようとしたが、暫くするときっちり挨拶をされさっさと娘の部屋へ逃げられた

芋煮とホッキ貝を肴に、結局は家人と二人でとことん。

蕎麦屋で憩う。

ここ近年、どうも「年の瀬」とか「暮れ」の感覚が薄くなっている。この土曜日も仕事で何かと気忙しいのだがそれとは裏腹に「暮れ」の雰囲気を未だ体感できずに居る。

日曜日は昼前に家人と買い物に出てた。ここのところ蕎麦を食べていない事に気付き、ご近所の「新玄」へ向かう。

昼時と言う事と、もはやこの店の名物と化した感のある「所作の優雅さ」の所為で店内はほぼ満員。

とりあえず、コチラは日本酒のぬる燗と家人は生ビールで乾杯。2010121913230000 民芸調のお銚子は御愛嬌だが、蕎麦味噌は「並木」のそれとは違い柔らかいので酒で溶かす必要が無い。

この店では必ず頼む「自家製イカの沖漬け」と「もつ煮込み」。2010121913260000 2010121913380000 柚子たっぷりの「イカの沖漬け」は文句無しに「ぬる燗」を進める。それとこの「もつ煮込み」いつもながら丁寧に下処理が施され上品に仕上がって供される。

続いては「若鶏の鍬焼き」。2010121914020000ぷりぷりの若鶏は食感も良く、甘めのタレと上手に絡んで舞茸やしし唐と共に旨い。

ここで、追加した酒の減り具合を見計らいながら「もり」を頼んだ。2010121914090000付け合せの辛味大根を入れ、先ずは一箸手繰る。喉越しが実に良い。更に葱と辛味大根に七味を入れつまみにした。手打ち故の濃厚な蕎麦湯を頂き満足して店を出る。

いつもは無粋にも長っ尻になる事が多いが、これぐらいで蕎麦屋の昼酒を〆られれば上出来。

道すがら、途中にある「駒寿司」に後ろ髪を引かれながらも振り切った。

因果応報。

昨日の酒宴の余韻も醒めぬまま、いや醒めぬが故、駒で昼酒。2010121212170000 先客さんが居た為、カウンターの一番端に座る。つぶの貝殻の向こうに見えるネタケースを裏から見たりマスターの仕事振りが覗えて中々面白い。

先ずは高清水のぬる燗。2010121212270000 つまみは鰯刺しを梅醤油で。2010121212380000鰯の甘味と梅醤油が絶妙に絡まり、さっぱりとして実に旨い。

続いては大根・牛蒡・里芋の煮物。2010121212530000ここの煮物は二種類の味付けがあり、今日はいつもの薄味ではなくこってりとした濃い味の方。悪くはないが薄味の方がぬる燗には合いそうだ。

そして若布のお浸し。2010121213480000 若布と油揚げを出汁に浸したところにあられが降り掛けられ、それが程よいアクセントになっている。

一時間程度で大徳利2本。気分良く店を出る。

夜は鍋にするのでご近所のI井家をお誘いした。フルメンバーで来訪。I家お持たせの芋焼酎が旨い。何と言っても大勢で鍋を突っつきながらの愉快な酒はこれまた格別。

これでは肝機能の数値が記録更新するのも已む無しか。

いざ討ち入り!。

土曜の本日は原宿まで出かける。

以前は表参道で電車を降り、ラフォーレ辺りまで流れに任せて歩くのが好きだった。特に途中にあった「原宿同潤会アパート」を眺めながら通り過ぎるのが何より楽しみで、都会の中にありながらそこだけ鬱蒼とした木々や蔦を湛え、一種独特な異空間を醸し出していた。

御上さんのコチラは、ここを通る度に実感として体感し「東京」を意識したものだった。

残念ながら現在は「表参道ヒルズ」と成り、何ら興味をそそる情緒も無く「普通の都会」に成り下がってしまった。表参道はスルーして東京メトロを明治神宮前で降りた。

土曜の昼、正に人混みを掻き分け辟易しながら脇道へ入ると表の喧騒がまるで嘘の様に収まる。

「浮世絵 太田記念美術館」。2010121112270000

少々気が早いが、正しい日本人の正しい師走の楽しみは何と言っても「忠臣蔵」で決まり。ここの美術館では今月19日まで「浮世絵忠臣蔵」を特別開催している。

浄瑠璃や歌舞伎の演目の「仮名手本忠臣蔵」を題材に、北斎・豊国・広重・国芳当時のオールスターが当時凌ぎを削り心魂を篭め生み出した品々。

どれもこれも思わず息を呑む圧倒的な存在感だが、やはり広重の「藍」と「群青」が際立った。

たっぷり時間を掛け1階と2階の展示室を回ったあと、この美術館の地下に在る日本手拭いの専門店「かまわぬ」を冷かす。

まだまだ興奮醒め遣らぬ感情を収めるべく上野に向かった。

やはり「立ち飲み たきおか」でしょう。2010121113370000一人なのでカウンターの通称「裏窓」付近に導かれる。

先ずはチューハイ。2010121113410000 つまみに「身欠きにしん」と「さといも」の煮物。

久々の「たきおか」だが、この安堵感は何なんだろう。何とも落ち着く。

次いで冷奴。2010121113560000ここの奴、葱がたっぷりで実によろしい。迷わずたっぷりの醤油とこれまたたっぷり七味を振り掛けて食す。満足。

ほろ酔いで地元へ戻った。

本日は夜からご近所会の忘年会。

いつもの「扇寿司」。

6時の開宴だが少々早めに着いた家人と共にフライングで生ビールを半分ほど飲む。三々五々次第に皆さん集まりだした。直ぐに「ぬる燗」。ゲソと貝ひものお通しに酒が進む。2010121118020000扇の名物のひとつ、「えびきゅうサラダ」 。20101211180700002010121118170000刺し盛りには「関アジ」と「寒ぶり」を入れて貰う。

途中「鉄火」などを摘みながらもK先生、O橋先生をはじめ総勢13名のご近所会は大いに盛り上がり、最後は一本締めで解散。

人情噺。

今日は盛岡経由福島へ。

盛岡からの新幹線に乗る際、手慰みでカップ酒を買う。2010120615440000 KIOSKで買い求めた「吾妻嶺」と東北を電車で旅する時には欠かせない「ほや」。正式名称は「ほや酔明」。パッケージの表には堂々と「滋養豊富」と「風味無双」と書いてある。

ところでこの「吾妻嶺」、名前と製造元以外は何の記載も無い。今時これが許されるのかどうか不明だがとにかく凄い。味も悪くない。

盛岡から福島まで2本空ける。いつもの様に乗り過ごしたら洒落にならない。

さて、福島到着。この町には25年ほど前に住んでいた事がある。たかだか1年程。その僅か1年程の間にほぼ毎日通っていた居酒屋があった。その名は「一の蔵」。

期待せず期待して、当時の記憶を搾り出し訪ねてみるとそこは既に綺麗に区画整理されて跡形も無い。

柄にも無く傷心して当時の面影を探しながら歩くと見覚えが在る看板を見つけた。

「一丁」。2010120618110001 2010120618110000見覚えがあるが入った事は無い。曇りガラスの引き戸は入り難い事この上ない。

ガラガラと言う音と共に引き戸を開けると、既に出来上がっている常連さんが一斉にコチラに向ける刺さる様な一瞥。

女将さんの「いらっしゃい」の声と共にカウンターに座る。女将さんは愛嬌のある笑顔で迎えてくれるが先客さんは完全無視。その仕草は寧ろ気持ちが良いほど。

取り合えず日本酒を頼む。2010120618170000 好みの細身の首長徳利が潔くてかっこいい。欲を言えば広口猪口が良かったがまぁ良い。きっちり2合入っている。その脇は黙って付いて来る寒鰤大根。これが旨い。

店内を見渡すと品書きが無いが、こんな時は余計なつまみは要らない。ただひたすら盃を傾ける。それにしてもこの徳利は良い。

お勘定を済ませ、店を出様としたところに女将さんが、「ありがとう存じます」。その刹那、根岸の「鍵屋」を思い出した。

もう一軒。「酒味寿 しみず」。2010120619260000何の気無しに入る。2010120619310000カウンターしか無い店内はアバンギャルドに散らばっている。

ママに聞いたら麦焼酎がウリと言うので逆らわずそれを頼む。このママ、中々の遣り手で注ぐグラスを間違えたと言って新しいグラスに入れ直した。そして入れ間違えたグラスを掲げ「ご馳走様です」と一口飲むと、旨いねぇ~と感心している。 コチラは最早笑うしかない。

そして焼酎と共に供されたお通し。2010120619370000「相馬沖で採れた鯛を汁にしてみた」との事だが、いわゆるこれは「ごった煮」と言う。

あっさりした物と思い品書きを見たら「おろし納豆」があったのでそれを頼む。2010120619570000分かってはいるが、これほど分かりやすい物は無い。しかしながら一番安全な様な気がした。

その後、このママと四方山話になり、その中で20才を目前にした娘さんを病気で亡くした事を知る。思わず涙腺が緩む。歳の所為かどうもこのところ涙もろくていけない。しかしこのママ、人の何倍も苦労をしたとの言葉とは裏腹に70オーバーとは思えないほど若々しい。

そのママが急に「あなたは36年生まれ?」と尻上がりのアクセントで言い切った。ドンピシャなのでちょっとたじろいだ。更に、「唇の色が良いから丈夫に生きられるわよ」と言い放った。今まで生きてきて唇の色なんぞを褒められた事は無い。甚だ根拠が不明だがコチラに都合の良い事はありがたく受け取っておく。

これからのおばさんの人生に乾杯。

大衆食堂。

金曜日、愛媛の松山を朝の11時頃に出て夜の11時に家に着いた。

風で瀬戸大橋線が封鎖され高松からフェリーに乗り換えるも宇野から岡山まで臨時列車が遅れ散々な行程ながら、車窓から眺める荒れ狂う景色を見ながらの一杯もこれまた一興で、言うほど苦痛ではない。

土曜日、台風一過の如く天気も良く北千住へ出掛ける。

何はともあれ「幸楽」。2010120412170000この辺では珍しく12時よりのオープン。既に7割方席は埋っていた。

先ずは「幸楽ボール」の「煮込み」「イカゲソ」。2010120412210001 2010120412210000 2010120412290000ここの「煮込み」は極々普通の「もつ煮込み」だが、そのあっさりした味付けと具のコンニャクがほぼ立方体に切られているところが良い。

この店、惜しむらくは日曜日が定休だった事だが、店内のお知らせによると日曜も営業と成ったらしい。良し良しマーキング。

続いては、北千住の駅から4号線を超え街中を歩く事暫く。

大衆食堂「朝日軒」。小さな地元密着系の商店街の入り口に在る。外観は何処にでもありそうな町の食堂。2010120413340000 以前より存在は知っていたが、駅からのアクセスが悪く中々訪問出来ずにいたところ、数日前に「飲み師」シューテンさんより背中を押され本日の訪問と相成った。

引き戸を開け店内に入ると、その品数の多さにまずは驚かされる。2010120413350000_2 2010120413360000_3 2010120413360002

この他にも麺類の品書きがある。2010120413590000 品数の多さも然る事ながら、その価格帯は正に本物の下町価格。駅の側ではこうはいかない。

チューハイを頼んだら、何となく予感がしたお通しも一緒に。2010120413360001 数多ある品書きの中からあれも食べたいこれも食べたいと思案しつつ頼んだのは「マカサラ」。2010120413390000供されたマカサラは実に見事なビジュアル。主役のマカサラの上にはなんとハムが、その脇にはプチトマト、この鮮やかな配色。何より驚いたのはコチラの心根を推し量った様に奥ゆかしく「予備」のマヨネーズ。これで150円。こりゃ凄い。味も文句無し。

330円のラーメンも興味が湧き頼んでみた。2010120414030000丼の「双喜紋」も誇らしげに。あっさりとしたスープが邪魔にならないこれぞ東京ラーメン。

丁寧な接客が気持ち良い店主に聞けば、11時~14時で一旦中抜けがあり夕方からまた再開するそうだ。久々にど真ん中な店に出会った。既に次回は何を頼もうかなどど考えながら満足して店を出る。

そして金町まで戻る。前回フラれた「おふくろの味 金波食堂」。2010120414530000 暖簾が出ているが「準備中」の札が出ている。酔いに任せて構わず入ると店主が「いらっしゃい」と迎えてくれた。2010120414590000_2 2010120415080000 2010120415100000_2この店も品数が多い。

取り合えずチューハイと「おすすめ品」の中から「魚ソーセージ炒め」と「ニラ玉」。2010120415120000 2010120415350000どちらも、これでもかってくらい塩っからいのでチューハイが進む 。

チューハイを頼みながら店内を改めて眺めるとこんな品書きも。2010120415470000 高麗人参酒や梅酒サワーに混ざって「にんにく酒ハイ」。怖気づいて頼まなかった。

それにしても市井の蕎麦屋で昼酒を愉しむ文化が衰退しかけている昨今、「花生食堂」・「ときわ食堂」や本日の2軒も含めしっかりと地元に根付いたコミュニティーを構築している元気な食堂があるのは呑み助には実にありがたい。

線路を潜り反対側の「ゑびす」へ向かおうかとも考えたが、余力が無くそのまま帰路へ着いた。

坂の上の雲、揺れる。

今宵は松山。

予め期待していた店が見当たらず、感を頼りに彷徨う。

そしてそぼ降る雨の中辿り着いた二番町は「大八車」。2010120218430000中々入り難い引き戸を開け店内に進むと、この店の大将が一瞬間を空けて「いらっしゃい」 と迎えてくれた。

店内は薄暗くL字型のカウンターのみ。「好きな所に座って」と促されて一番端に座ると、大将が「以前に来たことあった?」と聞かれたので「いや、初めて」と答えたら。「勇気あるねぇ」と変な褒められ方されれた。2010120218450000

先ずは日本酒を頼む。「常温、熱燗、冷酒?」と聞かれたが、折角褒められたので敢えて「ぬる燗」と答えた。2010120218470000 チロリに入れて供された間違いなくぬる燗。

つまみはおでんの「豆腐・玉子・すじ」。2010120218480000 玉子は良く煮込まれている分多少甘めだが、豆腐・すじは丁度良い。

芋や麦の水割りの後、目に付いた「すだち酒」。2010120219320000 物珍しさに釣られ頼んだらこれが甘い甘い。直ぐに芋焼酎に戻る。

ついでにズリポン(砂肝ポン酢)と塩鯖。2010120219180000 2010120220010000大将の焼き物に対する拘りなのだろう、遠火の強火でしっかりとこんがり焼きあがった鯖は中々の美味。

この大将、大の寅さん好きでシリーズは全て観ており、実際柴又にも訪れたことがあるとの事。それを突破口に柴又ならコチラも負けじと話が盛り上がる。

今度いつ寄れるか分からないが松山に来たら必ずまた寄る事を約束して店を後にした。

良い気分になりふらふら揺れながら歩いていると、何とも捨て置けない店構えが目に付いた。2010120220140000

「北山軒 ほくざんけん」。中華そばの文字に惹かれて入店。2010120220370000 店内に入るとおでんが煮えていた。

取り合えず中華そばと日本酒を頼む。2010120220220000_2豚骨ベースだが、すごくあっさりとしている。聞けばスープを作る途中の行程で普通なら禁じ手の脂を抜くそうだ。「中華そば」の名には比較的辛口のコチラもこれはクセになるかも知れない。つい先ほどまでケンコバと宮川大助が居たそうだ。

店内にはその昔甲子園を沸かせた松山商業VS三沢商業の当時の新聞記事が貼ってあった。

雨の中、足下も怪しく更に揺れながら宿へ帰る。

放っといてくれんさい。

怒涛の博多の夜行脚から逃げ出し、午前中に野暮用を済ます。

午後から移動して広島入り。思いの外早く着いたので辺りを巡る。

ホテルのフロントで「ちょっとお聞きしますがこれから直ぐに飲める店近くにありますか?」と聞いたら「駅ビルにならありますよ」との素気無いお答え。

「そんなんじゃなくてぇ~」とコチラの要望を伝えると若いフロントマンは一度奥に引っ込みベタラン社員に助けを求めた。そして教えて貰ったのが「大衆食堂 源蔵本店」。2010120116230000 あさ9:00~よる9:30までの御立派な営業で中々の面構え。

引き戸を開けると開放感のある広い店内。店員のお姐さんから案内されたテーブルへ着く。先ずは日本酒を燗で。つまみは自分で冷蔵ストッカーの中に並んでいる物の中から好きなものを選ぶシステム。

好物の「さより刺し」と「小鰯刺し」。2010120114510000どちらも鮮度が良く思わず舌鼓を打つ。特にこの小鰯はあまり関東近辺では見かけない様な気がするが生姜醤油で食すと実に旨い。

その旨さに感心しながら酒を追加すると、後ろの席の常連さんらしき先輩が「ホッピーなんてこの辺りには無いけんの。あれは関東の飲み物じゃけん」みたいな事を話している。それとは無しに目を向けると丁度目が合いってしまったので仕方なくあまり得意では無いホッピーの講釈を垂れた。

話を進めていくうりにこの先輩の口から「吉田類」巨匠の名前が出て来てお互い共通項で瞬時に場が和んだ。ついでに「小鰯の刺身」を頼んだ事を褒められたが、ここら辺りでは「瀬戸の小魚」と言うんだそうだ。

後は正に酒場漂流記と同じく差しつ差されつ。2010120115500000 お世話になった先輩方。お二人とも酒と肴に対しての知識が豊富で実に楽しい。

その後も、酒・食べ物・釣りなど様々な楽しい話を聞かせて貰った。更にはお勧めのお店を教えて頂き、完全アウェイながら楽しいひと時を過ごさせて貰った。

名残惜しくも行かねばならぬ。先輩方に御挨拶を済ませ教えて頂いた店に向かうとまだ暖簾が出ておらず辺りを散策する。これも巡礼の楽しみ。

そして目に付いたのがここ。2010120116540000 入り口から路地を奥に進むと、両脇に小さな店が犇めき合っている。そんな中、角地にぽつんと立ち飲み屋があり迷わず入る。2010120116520000 2010120116430000日本酒1杯200円、ネギ間100円・鳥皮100円。道行人の目に晒されながらも知らぬ土地ゆえ回りに憚る事無くグラスをあおり空にして店を出る。

満を持して向かうは先ほど先輩に教えて貰った串揚げ・天婦羅・おでんの「大衆酒場 やよ福」。

2010120116560000

暖簾を潜り店内に進むと、立派な長いカウンターと優しげな女将さん。何やら記憶にある香りが店全体から醸し出される。2010120116570000

暫く考えると、店内の香りが「花生食堂」のそれだと気付いた。

女将さんに聞いたところによると開店して52年目だそうで店の隅々に年月なりの息吹が刷り込まれ中々の風情。

日本酒の「ぬる」と「湯豆腐」と「すじポン」を頼む。2010120117090000 2010120117330000湯豆腐は思惑通りの味。すじポンは噛み応えがあり全く臭みも無く旨い。

次第に集まってきた地元の方のやり取りを暫く愉しみながら、余所者は邪魔にならない様にに店を後にした。

« 2010年11月 | トップページ | 2011年1月 »

2013年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
無料ブログはココログ